ただただ、真っ直ぐに

ひとつ ゆっくりと深呼吸したあとの
あなたの呼吸と同じ速さで
読んでもらえたらと思います










微かに雨音を感じる

静かでゆるやかな空間



見慣れきった私の部屋

茶色いドアも うす黄色のカーテンも

閉めきった私の部屋




ひんやり冷たい秋の空気をいっぱいに

この部屋も吸いこんだみたい






カーペットの上であぐらかいて

一瞬考えた



オーディオをつけるのは何だかもったいなくて

なんとなしに目をつむった

なんとなしに背筋を伸ばした











真っ暗な世界で

微かに聞こえたはずの雨音が

だんだんと消えてゆく





鼻から下の全ての力が

だんだんと抜けてゆく





頭のてっぺんから

何か”意識”のようなものが

半透明の膜に包まれて

すう・・っと引き出されていくような気がしたよ












一瞬にして

さっきまでの閉めきられた空間から

どこまでも続く広大な空間へと


私の意識は飛んでいった







巨大なスクリーンが

目の前に現れたかのようだった















海だ



どこまでも広がる海





朝焼けに染まる海を


空に近い所から見下ろしていたんだ





縦も横も180度大自然


群青色から 輝く黄色までの全ての色に


にごりなく染まる空と海





全身に


鳥肌が立ったよ













次の瞬間だった



真横から強い風が吹いた







目の前の光景に



大きく息を呑んだ















渡り鳥の群れだ













このスクリーンいっぱいに


白いユリカモメの群れが飛び込んできた




オレンジ色に染まり始めた地平線を目指して


ただ真っ直ぐに


力強く


その方角だけを目指して飛び続けてゆく









なんだろう





この迫力も

鳥たちの優美な姿も

心を震わす






けれどもっともっと

確かで大きな感覚が










懐かしさのような



胸がぎゅっと締め付けられるような










そんな感覚が

この全身を巡った













一つの先へ向かって


ただただ真っ直ぐに


力強く飛び続ける









躊躇いもなく

勇敢に輝く”生”


そこから溢れ出る

何とも美しいエネルギー


言葉にならない衝動
















そうだ

私知ってる


このエネルギー




















綴じた瞼から涙がこぼれて

ハッと気づいて目を開けた






閉めきった私の部屋

見慣れきった私の部屋だった





カーテンの向こうに

微かに雨音を感じた












「知ってる」





確かめるように

呟いてみた

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by flowerof_sun | 2006-10-23 19:55 | ポツリ。  

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